2050年、世界の人口は現在より3割増となる97億人に増えると予想されていて、2012年の農業生産量より50%生産増でないと食料が足りなくなると言われています。直近ではバッタの世界同時大量発生による食糧危機が懸念されていて、国連食糧農業機関(FAO)は「新型コロナウイルスと合わせ、甚大な結果となり得る」と警鐘を鳴らしています。日本にバッタが直接来襲することはなさそうですが、食料の輸入に大きな影響が出るおそれがありそうです。
食糧危機にそなえ、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が食品及び飼料における昆虫類の役割に注目したことから、昆虫食に徐々に関心が集まっています。
なじみが少ないような昆虫食ですが、インターネット上で「昆虫食」で検索すると 91,300,000 件 !表示。また、2020年の5月「無印良品」を展開する良品計画が食用コオロギを使った「コオロギせんべい」を発売し、即日販売したことなども記憶に新しいです。お肉や野菜のような食材の一つとして、取り入れられる日が近いのではないでしょうか?
もくじ
昆虫は豊富な栄養源
昆虫はタンパク質および良質の脂肪、カルシウムや亜鉛の量が豊富で、6〜7割がタンパク質でできています。鉄分含有量は、牛肉では乾燥重量100g当たり6mgであるのに対し、イナゴ類では乾燥重量100g当たり8~20mgあるそうです。効率的に栄養をとるのに適した食材だといえますね。
経済的にも効果大
牛や豚などに比べて、飼育や水の使用量も少なく、低コストかつ環境への負荷も少なくてすむといわれています。。また、季節を問わず、短いスパンで出荷ができる、使用場所も小さくできることなどイニシャルコスト、ランニングコストともに少ないコストでの養殖が可能です。しかし、まだ市場規模も小さく、鶏や豚などの価格より高いため、今後いかにコスト下げていくかが課題となっています。
日本の伝統「虫」食
日本の虫食の代表といえば佃煮が有名な「イナゴ」があげられます。長野県などの農村地方で食べてきた伝統食です。肉や魚が手に入りにくい山村などでは貴重なタンパク源だったそうです。子供の頃、おやつとして田んぼで捕まえて食べていたという話も聞きますね。そのほかにも、漢方薬や宇宙食として研究が進んでいる「蚕のサナギ」、ハチやハチノコ、カミキリムシ、ざざ虫、蝉などが食べられてきましたが、流通の発達により肉や魚などが手に入りやすくなったため、食べる地域は少なくなっています。
昆虫食の留意点
虫食の気になる点として、見た目が気持ち悪いのが第一にあげられますが、粉末にするなど、加工方法でクリアできると思います。栄養素が豊富な分、カロリーも高いので食べすぎには要注意です。
また、毒性のある虫、何を餌としたかわからない点、寄生虫による伝染病の事例など、まだわからないところがありますので、きちんと販売されているものを食べるようにしましょう。また、甲殻類に近い為、アレルギーを起こすこともありますので、お子様などに食べさせる場合はよく確認してください。
実際に「虫」を食べてみよう
ということで、昆虫の販売、製造、研究開発、養殖までトータルで行っている「TAKEO」さんのコオロギを購入して食べてみることにしました。ネットで調べたかぎり、国内の昆虫食ショップはもちろん、海外の自然食スーパーでもコオロギの取り扱いは多いようです。初心者にも食べやすいのでは?という期待も込めていざ実食!
コオロギスナック
まんまコオロギです。会社のおやつタイムにみんなでいただきました。風味はエビに近いかな?思ったより軽い食べ心地でした。虫が苦手と言っていたスタッフも1個食べたら気にならなくなったようです。最初の1個を食べられるかどうかでしょうか。
「ビールに合いそう」という感想もありましたが、100g当たり500kcal以上あるのでうっかり食べ過ぎたら太りそうですね。逆に栄養価も高いのでアスリートの栄養補助食としてお勧めできそうです。
コオロギパウダー
コオロギを粉末状にしてあります。見た感じは薬っぽく、苦そうに見えましたが実際は全く苦味は淡白なエビという感じでしょうか。実際使ってみるべくスタッフが持ち帰って調理してみました。
●お好み焼きの鰹節がわりにかけてみた
→ ソースの味が濃いため、味を感じにくいかも。
なので、パウダーではなく、コオロギスナックをトッピングの方がオススメ。
「TAKEO」さんのかんたんKONCHUレシピより→広島風コオロギお好み焼き
●担々麺の隠し味に
→食べている途中に味の変化を楽しめた。
●シャカシャカポテトの味付けとして
→塩味が足りないので塩と合わせてシャカシャカしたら、エビっぽい風味が絶妙!手軽にテイストを変えられます。(奥はプレーンな塩味)
ご注意:昆虫はエビ・カニ系と似ているため甲殻類アレルギーをお持ちの方は
食べないことをおすすめしております。
昆虫食の可能性
東南アジアでは身近な食べ物として、様々な昆虫が食べられています。欧米でも昆虫食が広がりつつあります。市場が拡大すれば、昆虫食は食材の一つとして、私たちの食生活により豊かにしていく可能性が十分あります。
今回虫を食べてみて思ったのが、見た目や経験上の喰わず嫌いな部分もありましたが、「意外に美味しい」ということ。どの食べ物も自然の恵みをいただいています。健康にも環境にも優しい「虫」食はじめてみませんか?