子どもの頃、食事を残そうとすると「他の国にはご飯を食べられない子どもたちがたくさんいるんだよ」と、お腹一杯食べられることに感謝し残さず食べることの大切さを教えられた経験がある方は多いのではないでしょうか。あれから数十年、その「ご飯を食べられない子どもたち」の状況はどうなったのでしょうか。
テクノロジーが発達し、私たちの生活は格段に便利になった今でも、世界には当時と同じようにお腹一杯食事を食べられない子ども達がいるのが現状です。そしてそれは日本の子ども達にも7人に1人の割合で起こっているそうです。
ですが、その一方で、日本や先進国では食品ロス(フードロス)が多く発生しています。ここ日本の食品ロスは残念なことに世界トップクラス。今回は、まず食品ロスのことを知るため、食品ロスがテーマの映画や本の紹介、企業の取り組み、そして私たちが生活のなかで取り入れられることなどについて考えてみたいと思います。
もくじ
映画
「0円キッチン」
監督:ダーヴィド・グロス、ゲオルク・ミッシュ 配給:ユナイテッドピープル 2015年/オーストリア/81分
世界で生産される食料の3分の1は食べられることなく廃棄されています。「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう!」 と考えた食材救出人のダーヴィドさん。ヨーロッパ5カ国を舞台に植物油で走れるように改造した車に、ゴミ箱でつくった特製キッチンを取り付け、旅にでます。スーパー、漁船、農家、家庭などで食材がこんなにも廃棄されている現実。ヨーロッパのある都市では、食品の廃棄を一切禁止しているところもあり、日本との意識の差に驚きました。昆虫食は出来ればあの形ではなく、このサイトでも取り上げた粉の状態で頂きたいです。
食材の無駄をなくす為、工夫しながら楽しんで取り組んでいる人々と出会うことで、食の現実と未来を示してくれ、何よりも食材にきちんと向き合い、食事を真剣に楽しむことが、食材を無駄にしないことなのだと気づかされる映画でした。
「もったいないキッチン」
監督:ダーヴィド・グロス、ゲオルク・ミッシュ 配給:ユナイテッドピープル 2020年/オーストリア/95分
ご紹介した「0円キッチン」の続編。
現在公開中です。こちらは日本を舞台にした旅となっていますので、日本の子ども達にもぜひみて欲しいなと思います。
本やTVから
絵本
「たべもの もったいない」 著者 いなばけんいち
幼い子と一緒に読める
食事を残すこと、捨てることはなぜもったいない事なのかを学ぶ
小さい頃から自然に感じて身に着けてほしい心ですよね
啓蒙CM
「もったいないおばけ」
まんが日本昔ばなしを題材に作成された子どもの頃に見て鮮明に覚えているCM
小さい頃に自然に刷り込まれていて、とても良い取り組みだったなと思います
企業の取り組み
ネット販売にてアウトレット商品として消費期限が近づいているものを低価格にて販売。
食品ロス削減の一歩としてエシカルプロジェクトを推進。消費期限が近い商品にシールがついていて、それを電子マネーnanacoで購入するとポイントが付く。
デパートや百貨店
お中元、お歳暮売れ残りセール「解体セール」「ギフト処分市」「もったいないセール」などの呼び名で開催されている。消費期限が近いものを安く提供されていて、長い列ができるほど盛況のイベント。
生活の中で出来ることを考えよう
クイズで食品ロスについて知ろう (参考:消費者庁HP、農林水産省HP)
Q1.日本の食品ロス量を国民一人当たりに換算すると?
1.毎日バケツ一杯分
2.毎日ご飯茶碗一杯分
3.毎日小さじ一杯分
4.年間1万トン
Q2.世界の年間食料廃棄量は?
1.1万トン
2.10万トン
3.1億トン
4.13億トン
Q3.世界の食料廃棄量は人の消費の為に生産された食料のおよそ何割にあたる?
1.10分の1
2.5分の1
3.3分の1
4.2分の1
答え: Q1 2 Q2 4 Q3 3
「3分の1ルール」を知ること
「3分の1ルール」とは、製造日から賞味期限までの合計日数の3分の1を経過した日程までを納品可能日とし、3分の2を経過した日程までを販売可能日(販売期限)とする商慣習的なルールのこと
このルール、ご存じですか?近年はこのルールを改善する動きがあるようですが、消費者がこのルールを知って、出来るだけ新しいものを買おうとする意識を変えていく事が大切ですね。
参考 農林水産省
まとめ
今回、食品ロスをテーマに考え、昔の日本人の考え方「もったいない」「バチが当たるよ」「八百万の神々」「すべての物に神が宿る」などの言葉を改めて思い返しました。快適さや便利さを追求することは、その向こう側に無駄が発生し、困っている人がいるかもしれないことをみんなが想像し行動できれば、食品ロスを出さないように身近なところから行動する事につながっていくのではないかと思います。
「作りすぎず、消費期限が近いものから消費し、使い切る。」文章にすると当たり前のことです。まずはここからですね。食べ物に困る人がいない世の中へ、みんなの意識で変えていきたいですね。