サスティナブルなものづくり①〜アップサイクル〜

アップサイクルという言葉をご存知ですか?本来捨てられてきた副産物、廃棄物などを高品質で環境価値を持つ、新しい材料や製品へと生まれ変わらせることをいいます。現在、世界中で廃棄されてきた様々な素材が、魅力的なアップサイクル製品として作られています。今回、環境問題を多く抱えるプラスチックやゴム等のアップサイクル製品をご紹介します。

アップサイクル製品として有名なのが、スイスののブランド「FREITAG(フライラーグ)」。トラックの幌布、自動車のシートベルト、自転車のチューブなどを使ったバッグを30年近く前から生産していて、いまでは世界27店舗と300以上の代理店で販売されています。

バリを拠点とする「indosole(インドソール)」。土にも還らず、燃やすことで有毒ガスを発するなど、汚染の原因ともなっている廃タイヤを再利用して耐久性に優れたフットウェアにアップサイクルしています。

日本でもさまざまな取り組みが行われており、デザイン性の高いアップサイクル製品が多数生まれています。

PLASTICITY(プラスティシティ)

年間約8000万本が埋め立て、焼却処分されていると言われているビニール傘。アップサイクルのバッグブランド「PLASTICITY」は、その廃棄問題を解決するひとつの方法としてビニール傘をアップサイクルした製品を開発、商品化しています。

ビニール傘を何層にも重ねて作られた独自の素材「Glass rain」

駅や商業施設から回収した傘一本一本を選別、解体、洗浄し、ビニール部分を層として重ねてプレスすることで新しい素材「Glass rain」へと進化。水や汚れに強い素材特性に高い技術力とデザイン性が付加され、バッグとして再生されました。(骨の部分は通常の鉄リサイクルへ回されるそうです)

(左)ビニールと骨組みを一つ一つ手作業で分解 (右)ビニールのカラーごとに分別
特殊な素材のため、裁断、縫製は国内の職人の手で行われている

全ての工程を国内で丁寧に一つ一つ手作業で行うことで、高品質な商品が生み出されています。

使い捨て感の強い「ビニール傘」が別の形で私たちの手元へと戻ってくる、素敵なことに思えますが、この「使い捨て」このままでいいのでしょうか?

PLASTICITYは企業として、こう宣言しています。

「PLASTIC」の問題を抱える​「CITY」にフォーカスを当て、今後解決されるべき環境問題が近い将来に解決されるという思いを込めて「10年後になくなるべきブランド」を宣言しています。(HPより)

置き忘れたり、無くしたり、愛着が湧くこともなく私たちの手を簡単に離れてしまうビニール傘。無駄な消費により多くの廃棄が生まれています。リサイクル、アップサイクルを行うのと同時に、今の「消費の仕方」を考える必要があるのではないでしょうか?

PLASTICITY(プラスティシティ)

キモノヤーン 

着られることが無くなった着物をヤーンとして再生した「キモノヤーン 」。「Recra(Re:craft company)」では、「すてずにすてきに」を合言葉に、捨てられる着物をアップサイクルしてヤーンを製造、販売。「捨てたいと作りたい」がつながることで、キモノヤーンを使ったハンドメイド作品が多数生み出されています。

着物がそのまま糸となっており、世界に一つだけのオリジナル商品を作ることが可能。

公式インスタグラムでは多数の作家さんの作品をご紹介されていますのでチェックしてみてください。

皆さんの家の奥にも素敵な着物が眠っていませんか?

Recra

UPCYCLE LAB

UPCYCLE LABは「廃材に新しい視点をプラスして、新しい価値を生み出す」をミッションにバッグや生活雑貨などを企画・製造・販売しているメーカーです。

スパイラルな形状が特長の消防ホース製バッグ
ベルトに廃棄シートベルトを使用したタイプのトートバッグ

ビルなどに設置されていた未使用のまま廃棄される「消防ホース」、広告やテント、横断幕などに使われている「ターポリン」の製作時の端材、それらの素材の丈夫さや防水性などの機能を生かし、バッグや日用品、アウトドア製品などにアップサイクルしています。

ホースの折り目もきちんと処理し、職人の手で丁寧に制作

素材の特長を生かし、デザイン性に加え耐久性の高さを発揮することで、日常生活で長く活躍できる商品を多数展開されています。

UPCYCLE LAB

さいごに

ご紹介したアップサイクル製品は、単純におしゃれな製品というだけでなく、元の素材の特性を生かし、長く、大切に使えるよう丁寧に作られています。さらに、製作側の雇用、廃棄が及ぼす地球環境への影響など様々な角度から考えられて作られています。

使う側のわたしたちも、いま手元にある製品がどのようにして作られ、どう棄てられるかに意識を向け、「消費して、捨てる」という生活から「大切に使う」へと今の暮らしを見直してみてはいかがでしょうか?


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