【不燃材って燃えないの?】不燃材料の定義とその種類について解説します

不燃材とは

じつは不燃材でも燃えるものがあります!

建築基準法において不燃材料(防火材料)とは、火災が起きた際に人々の避難を妨げず火災被害を軽減させる事を目的に、発火するまでの時間が遅くて煙や有毒なガスを発生させない建材です。そのため、不燃材料の種類によっては、火熱が加えられた一定の時間後には燃焼する(燃える)物もあります。

不燃材料についての定義、基本的な情報や具体的な種類について解説していきましょう。


不燃材料とは

建築基準法において不燃材料についての定義を見てみましょう。


不燃材料
建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

引用:建築基準法第2条第9号 不燃材料


不燃材料とは、建築基準法において温度が高くなっても発火までに時間の猶予がある「防火材料」に分類される建築材料です。

通常の火災によって火熱が加えられた場合に、一般の建築材料と比較して発火が遅いのが特徴であり、火災被害を抑える目的や、防火対策に用いられます。

防火材料とは

防火材料とは、建築基準法の「防火認定」が適用された建築材料のことです。火災被害の軽減や避難時間の確保に効果があるとした材料に適用されるものです。細かな条件として、通常の火災で火熱が加えられた場合に、加熱開始後から一定時間以下3つの要件を満たすものが防火材料と認定されます。

  •  1.燃焼しないものであること
  •  2.防火上有害な変形、融解、き裂その他の損傷を生じないものであること
  •  3.避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること

防火材料の分類と種類

防火材料は、建築基準法施行令により加熱開始後何分で防火認定条件を満たすかで区分が行われており、下記のように「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3つに分類されます。

不燃材料加熱開始後20分以上で条件を満たす
準不燃材料加熱開始後10分以上で条件を満たす
難燃材料加熱開始後5分以上で条件を満たす

<不燃材料>

不燃材料は、「建設省告示第1400号(国土交通省告示第1178号により改正)」により定められています。法定不燃材料となります。

  •   1.コンクリート
  •   2.れんが
  •   3.瓦
  •   4.陶磁器質タイル
  •   5.繊維強化セメント板
  •   6.ガラス繊維混入セメント板(厚さ3mm以上)
  •   7.繊維混入ケイ酸カルシウム板(厚さ5mm以上)
  •   8.鉄鋼
  •   9.アルミニウム
  •  10.金属板
  •  11.ガラス
  •  12.モルタル
  •  13.しっくい
  •  14.石
  •  15.せっこうボード(厚さ12mm以上、ボード用原紙の厚さが0.6mm以下)
  •  16.ロックウール
  •  17.グラスウール板

上記以外で、「建築基準法施行令第108条の2」で定められた要件を満たし、国土交通大臣より認定を受けると不燃材料として使用できます。認定不燃材料です。

(認定番号について)

不燃材料の認定を受けた材料は、下記の認定番号が割り振られます。〇〇〇〇には4桁の番号が入ります。

用語コード英語表記不燃材料認定番号
不燃材料NMNoncombustible MaterialNM-〇〇〇〇
不燃材料
(外部仕上げ用)
NENoncombustible Exterior FinishNE-〇〇〇〇

<準不燃材料>

準不燃材料は、建設省告示第1401号により定められています。

  •  1.せっこうボード(厚さ9mm以上、ボード用原紙の厚さ0.6mm以下)
  •  2.木毛セメント板(厚さ15mm以上)
  •  3.硬質木片セメント板(厚さ9mm以上、かさ比重0.9以上)
  •  4.木片セメント板(厚さ30mm以上、かさ比重0.5以上)
  •  5.パルプセメント板れんが(厚さ6mm以上)

上記以外で、「建築基準法施行令第108条の2」で定められた要件を満たし、国土交通大臣の準不燃材料定を受けたものが、準不燃材料として使用できます。

(認定番号について)

準不燃材料の認定を受けた材料は、下記の認定番号が割り振られます。〇〇〇〇には4桁の番号が入ります。

用語コード英語表記準不燃材料認定番号
準不燃材料QMQuasi-noncombustible MaterialQM-〇〇〇〇
準不燃材料
(外部仕上げ用)
QEQuasi-noncombustible Exterior FinishQE-〇〇〇〇

<難燃材料>

難燃材料は、建設省告示第1402号により定められています。

  •  1.難燃合板(厚さ5.5mm以上)
  •  2.せっこうボード(厚さ7mm以上、ボード用原紙の厚さが0.5mm以下)

上記以外で、「建築基準法施行令第108条の2」で定められた要件を満たし、国土交通大臣の難燃材料定を受けたものが、難燃材料として使用できます。

(認定番号について)

難燃材料の認定を受けた材料は、下記の認定番号が割り振られます。〇〇〇〇には4桁の番号が入ります。

用語コード英語表記難燃材料認定番号
難燃材料RMFire Retardant MaterialRM-〇〇〇〇
難燃材料
(外部仕上げ用)
REFire Retardant Exterior FinishRE-〇〇〇〇

不燃材料(防火材料)の使用が義務付けられている場所

<屋内での基準>

不特定多数の人が利用する建物(特殊建築物)などには、建築基準法での「内装制限」により、防火材料の使用が義務付けられています。対象は、壁、天井など床以外の部分です。不燃材料・準不燃材料・難燃材料のどれを使用するかは、建物の種類・規模・使用箇所によって決められています。防火材料の使用が義務付けられているのは主に以下の建物です。

特殊建築物劇場、映画館、公会堂、集会場、病院、ホテル、旅館、寄宿舎、百貨店、カフェ、公衆浴場、飲食店、など
規模3階建て以上で延べ面積が500㎡以上のもの、2階建てで延べ面積が1000㎡以上のもの、1階建てで延べ面積が3000㎡以上のもの
無窓居室排煙上あるいは採光上の基準を満たす窓がない天井高6m以下の居室
調理室等の火気使用室住宅以外の建築物で火を使う設備を設けたもの、2階以上の住宅で最上階以外の階に火を使う施設を設けたもの

※緩和条件及びその他条例による規定あり

「内装制限」に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。

<屋外での基準>

建築基準法の「看板等の防火装置」により、駅前や幹線道路沿いなど特に大きな火災につながる可能性のある「防火地域」内にある看板、広告塔などに不燃材料の使用が義務付けられています。具体的には、「屋上広告・看板」、「高さ3mを超える看板」が当てはまります。

ただし、都市計画法により、数年ごとに見直されるため、不動産会社や役所へ都度確認するとよいでしょう。

消防法における不燃材料

消防法では、消防法施行令別表第1にて定められる特定防火対象物に対して、不燃材料を中心とした防火材料の使用が義務付けられています。特定防火対象物とは、不特定多数の人が出入りする建築物のことです。多くの人が出入りする建築物だからこそ、より防火性能が高い不燃材料が求められます。

※【参照】消防法施行令別表第1

建築基準法だけでなく、消防法も関係してきますので、2つの法律を合わせて理解する必要があります。

不燃材料

まとめ

不燃材料をはじめとする防火材料の分類基準や、使用場面についてご紹介しました。

不特定多数の人が利用する建物屋内の施設だけでなく、屋外の施設でも防火材料の使用が義務付けられています。

万が一火災が起こった際でも家族や施設利用者の安全を守るためにも防火材料の性能や特徴を理解して使用しましょう。


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